ドラムって難しい?現役ドラマーが教える「素質」のヒントと練習のコツ

これからドラムを始めたいと思っている皆さん、「手足をバラバラに動かすなんて無理!」と不安に思っていませんか。

結論から言うと、ドラムは特別な才能が必要な楽器ではありません。
自転車に乗るのと同じで、体の使い方のコツさえ掴めば、誰でも叩けるようになります。

この記事では、ドラムの技術的な壁を解消し、あなたが持っているドラマーとしての素質を見つけるヒントと、すぐに始められるシンプルな練習法を紹介します。

ドラムの「難しさ」の正体

ドラムの演奏で必要なのは「手足がバラバラに動く能力」ではありません。

実際には、多肢協調性――両手両足がそれぞれ違う役割を持ちながらも、一つのリズムとしてまとまる能力――が重要です。

身近な例で言えば、自転車です。
両足でペダルを交互に踏みながら、両手でハンドルを握り、バランスを取りつつ前に進みます。つまり、両手両足が異なる動きをしていても、全体として前に進むという共通の目的があります。ドラムも同じで、手足が独立して動くように見えても、最終的には「グルーヴを作る」という共通目的に沿って動いているのです。

たとえば、4ビートの基本リズムでは右手でハイハットを刻み、左手でスネアを2拍目と4拍目に打ち、右足でバスドラムの土台を作り、左足で裏拍を補助します。一見バラバラですが、曲のグルーヴを生むための自然な連動です。

ドラマー素質を感じる瞬間

あなたがドラムの上達に向いているかどうかは、感覚的に次の2つのポイントで確認できます。

  • リズムの「縦線」と「横線」を感じられるか
    グルーヴとは、曲のテンポ(縦線)と、各楽器が「いつ、どう音を出すか(横線)」の組み合わせです。素質のある人は、音楽を聴いたときにメロディだけでなく時間の流れを具体的に感じ取れます。「少しゆったりしている」「ドラムの音が揃っていて気持ちいい」といった感覚です。練習では、片手でハイハットの一定テンポを刻み、もう片方の手でスネアを正確に叩くと、自分のリズム感を確認できます。

  • 「脱力」と「インパクト」の感覚を掴めるか
    力任せに叩くと疲れやすく音も硬くなります。上手いドラマーはスティックやペダルの跳ね返りを活かし、叩く瞬間だけ力を入れて、叩いた後はすぐに力を抜きます。机に軽くスティックを落とすように叩き、跳ね返りを手で受け止める練習が目安です。脱力の感覚が身につくと、長時間の演奏や高速フレーズも疲れにくく、音も安定します。

練習を加速させる考え方

ドラムは一見複雑ですが、基本は「分解して独立させること」と「全体の音楽感覚」を意識することです。

難しいリズムに挑戦するときは、まず超ゆっくりなテンポで手足の動きを一つずつ確認します。右手でハイハット、左手でスネア、右足でバスドラム、左足で裏拍…という順番で練習し、脳に各動きを個別に覚えさせます。その後、徐々にスピードを上げて全体を統合することで、自然に手足が連動するようになります。

さらに、自分の音が曲全体にどう影響するかを意識します。バスドラムは曲に重みを加え、スネアは勢いを作り、ハイハットはリズムを整えます。「自分の音で曲を動かしている」という意識があると、練習の楽しさと効果は格段に上がります。

また、ドラムは全身運動です。深く座ったリラックス姿勢と体幹の使い方を意識することで、手足の動きがスムーズになり、力みも減ります。呼吸を意識することでリズムの安定感も増し、演奏全体が自然にまとまります。

まとめ:初心者が覚えておきたいポイント

ドラムは、手足がバラバラに動く難しい楽器と思われがちですが、実際は「体の感覚を使ってリズムを連動させる遊び」です。初心者でも意識すべきポイントは次の通りです。

  • リズム感覚を意識する:縦のテンポと横のタイミングを意識し、グルーヴを作る感覚を養う
  • 脱力とインパクトを両立する:力を入れる場所と抜くタイミングを意識し、長時間でも疲れにくくする
  • 分解して練習し、統合する:手足の動きを個別に覚えてから全体をまとめる
  • 体全体を意識する:姿勢や体幹、呼吸を意識することで動きがスムーズになる

ドラムは挑戦しがいのある楽器であり、全身で音楽と一体化する楽しさに満ちています。チェックポイントで「なんとなく分かる」と感じたなら、あなたには十分な素質があります。

まずは怖がらずにスティックを握り、手足が自然に連動する感覚を楽しみながら練習してみましょう。練習を重ねるほど、自分の演奏が曲に命を吹き込む感覚を実感できるはずです。ドラムの魅力は、**「音楽の心臓を自分で動かせる喜び」**です。楽しむ気持ちを忘れずに、ぜひその感覚を体験してください。

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