ドラムに興味を持ち、「さあ始めてみよう!」と思ったとき、多くの人が最初に悩むのは「何から練習すればいいのか」という点です。
教則本やYouTube動画には無数の練習法が紹介されていますが、いざ自分が始めようとすると、その膨大な情報量に圧倒されてしまうことも少なくありません。
本記事では、私自身の独断と偏見を交えつつ、初心者がドラムをスタートする際に大切にしてほしい考え方と、実際の練習の流れをご紹介します。基礎練習はもちろん重要ですが、最初に「ドラムって楽しい!」と感じることが、長続きするかどうかを決める分岐点になります。
大前提として「基礎は大切」
まず最初にお伝えしておきたいのは、基礎の大切さです。
スティックの握り方や、ストロークの基本、4分音符を安定して刻むこと、メトロノームに合わせることなど、これらを疎かにすると、後々必ず壁にぶつかります。
しかし一方で、基礎ばかりをストイックにやり続けると、初心者にとっては「つまらない」と感じてしまうリスクもあります。
ドラムは本来、リズムに乗り、身体全体で音楽を楽しむ楽器です。だからこそ、基礎と楽しさのバランスをうまく取ることが大切です。
最初にやってほしいこと:曲に合わせて叩く
私が初心者に最初にすすめたいのは、好きな曲に合わせてドラムを叩くことです。
「え? いきなり曲に合わせるなんて無理じゃない?」と思うかもしれません。もちろん、最初から完コピ(完全コピー)する必要はありません。むしろ、曲のドラムパターンをそのまま再現することは初心者にはかなり難易度が高いです。
そこでおすすめなのが、簡単なビートを覚えて、好きな曲に当てはめて叩いてみることです。
ドラムセットの前に座り、右手でハイハットを「チッチッチッチ」と刻みながら、左手でスネアを2拍4拍に、右足でバスドラムを1拍と3拍に踏む。これができるようになるだけで、多くのロックやポップスの曲に合わせられるようになります。
そして、音源に合わせて叩くときには「そのドラマーになりきる」つもりでプレイするのがおすすめです。多少間違えても構いません。大切なのは、音楽と一体になっている感覚を味わうことです。
いきなり難しいことはしなくていい
初心者の多くがやりがちなのは、「ドラムソロ」や「高速フィルイン」に憧れて、無理に難しいフレーズを練習しようとすることです。確かに憧れは大切ですが、最初はリズムキープに徹することが一番の近道です。
ドラムの役割は、バンド全体のリズムを支えること。複雑なフレーズよりも、シンプルで安定したビートを刻めることが何より評価されます。プロのドラマーがシンプルなリズムを叩いても「かっこいい!」と感じるのは、その安定感とグルーヴにあります。
ですから最初のうちは、1つの基本ビートを「何分間でも崩れず叩ける」ことを目標にしてみましょう。
練習のステップ例
では実際に、初心者が取り組みやすい練習の流れを紹介します。
- スティックを正しく持つ
力まずに持ち、手首を柔らかく使えるように意識します。 - メトロノームに合わせて叩く
最初はテンポ60程度の遅いテンポで、4分音符を安定して刻む練習をします。 - 8ビートを覚える
ハイハットを右手で刻み、スネアを2拍4拍に、バスドラムを1拍と3拍に入れる基本のリズムです。 - 好きな曲に当てはめてみる
シンプルな8ビートでも、多くのポップスやロック曲にフィットします。音楽に合わせて叩くだけで一気に楽しくなります。 - フィルインを少し加えてみる
1小節の最後にタタタッとスネアを入れてみるだけでも曲の雰囲気が変わり、さらにドラムの魅力を感じられます。
練習環境と機材について
ドラムを始めるときにもう一つ悩むのが「どんな機材を揃えればいいのか」という点です。
いきなり高価なドラムセットを買う必要はありません。最近では、静音性の高い電子ドラムや、スティックと練習パッドだけで練習を始める人も多くいます。
機材選びに迷った方はこちらの記事も参考にしてみてください。
👉 ドラムをはじめたら最初に揃える機材は?
楽しむことが一番の上達法
繰り返しになりますが、最初の段階で大切なのは「ドラムを好きになる」ことです。
基礎は必要不可欠ですが、それ以上に「音楽に合わせて叩く楽しさ」を体験することが、モチベーションを維持する最大の秘訣です。
プロのドラマーも、最初は憧れの曲を真似して叩くところから始めています。上手く叩けなくても、音楽に乗れている自分を楽しめることが、何よりの成長の第一歩です。
まとめ
- ドラム初心者はまず「基礎の大切さ」を意識する
- ただし、同時に「楽しさ」を感じることが上達の近道
- 簡単な8ビートを覚えて、好きな曲に合わせて叩いてみる
- 難しいことに挑戦するより、シンプルなリズムを安定して叩けることを優先する
- 機材は最低限からスタートしてOK
ドラムは難しそうに見えて、実はとてもシンプルで、誰でも音楽の楽しさを全身で味わえる楽器です。
まずは肩の力を抜いて、憧れの曲に合わせて一歩踏み出してみましょう。
